井沢満先生の「和」を守る

井沢満先生がご自身のブログで、お着物への愛情・美意識など
失いたくない大切なことをお書きです。またも井沢先生に転載を
ご許可頂きました。
『先生、ありがとうございます!』              -井沢満ブログー

            

「和」を守る


癖になるのか、このところ通販でいろいろ手に入れるのが続いている。

最近のヒットは、シルクの黒コートで、コートというと暑苦しいが
要するに長い丈の、ふわっと羽織るシャツというのに近い。
羽織って膝の下まで来る。
冷房が苦手で、カーディガンを持ち歩く私は重宝しそうだ。
軽く薄いので畳んで鞄に入れておける。

ビルマシルクだというので、産地はミャンマーなのだろうか。
暑いエリアのお蚕さんは、まゆが太くて繊細なシルクにはならないと
思うが、コートにはむしろちょうどいいかもしれない。

あとひとつ、迷い迷いであったのが、ポリエステルの絽で、
出来合いの着物。ウールも綿も着たことがないのに一気に
ポリエステルに飛んだのは、絽なら何となくポリでもイメージがつかめるし、
安価なので、雨が多い6月用、出先で土砂降りの夕立にあっても
難儀しないで済む着物を、とふと思ったからだった。

届いて、着られなければそれまでのこと、と思える程度の価格。
しかし、手元に来たのを見れば色合いもまあ悪くないし、感触も絽ではある。
着丈が気持ち長めかなと思う程度で、裄は問題なかった。

着物はこういう時、柔軟性に富み洋服ほどきっちりとサイズが合ってなくても
まとえる。

浴衣は今度三越で仕立てている着物が出来上がっでから、反物を見てみようかと思う。
靖国神社のみたま祭りには間に合いそうもないが。

それと売り場で気になったのが藤色の草履で、これは
男物にしては大胆で手を出しそびれたのだが、履いてしまえば足袋の合間に
ちらちらとパープルが漏れる程度で面白いかも知れぬ。
小千谷縮の着物の仕立て上がりの3週間後に、まだ売り場にあればご縁ということで
求めようと思う。

あと欲しいのが扇子。三越の呉服売り場は目の毒である。

それにしても皇室の方々にこそ和服を召していただきたいのだが
晩餐会における天皇陛下もタキシードでいらっしゃる。
もし紋付きと仙台平の袴であれば、不勉強で知らぬのだが
紋は菊になるのであろうか。さぞ、お似合いでまた威風堂々と見えるのでは
ないかと拝察する。

皇室の最大の役割は神道の最高峰としての、祭祀王であるが
日本の伝統を次代に継がれることもそうであろう。
言葉ひとつ、時代によって変転しては行くものの皇室は、言葉が
命脈を保つ最後の砦であって欲しいと願う。
今どき、おたたさま、おもうさまはないだろうが、パパ、ママは勘弁して
頂きたいのである。雅な日本語をあとうかぎり保って頂きたい。

私はどうにもパパ、ママが生理的に受け付けず、脚本でも
リアリティを重んじてパパ、ママは使わなくもないけれど、
出来る限りお父さん、お母さんと言わせている。
本当は松竹大船の時代のように、お父様、お母様と言わせたいのだが、
さすがに現代では無理。上流社会を今どき描いても、なかなかリアリティという意味で
どうなのだろうという、ていたらく。お父様お母様は、現在70歳前後の
人たちの時代には、日常にあったはず。

おっとりと、品のいい日本語が説滅寸前で、そういうセリフを書ける
脚本家がもういなくなりつつあるのではないか。
いずれ書き残しておきたいと思うが、そんなドラマはそれこそ
戦前の皇室や貴族を舞台にせねば、書けぬであろう。

死ぬまでに一つ、日本古来の美しい言葉をドラマか小説の中に刻んで
残しておきたい。

皇后陛下も、紀子妃殿下も眞子さまも佳子さまも和服をきちんと
召されるのが有り難い。
皇后陛下が先の皇后から受け継いて養蚕をなさるのも、日本の
絹とそれにまつわる心を守りたいお気持ちからであろうと思う。

悠仁親王殿下も、着物に袴がお似合いで嬉しいことである。
悠仁様がまとわれた御初召(おうぶめし)こそは、和の衣類の精髄で、
雪の如き白い絹に、織りで繊細な模様が浮き出ている。

文字では伝えきれぬので、著作権に触れぬかと懸念しつつ・・・・も、

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御初召は要するに産着で、皇后陛下が育てられた日本原産の「小石丸」の生糸で織られている。
悠仁親王殿下の、宮中三殿参拝用に、天皇皇后両陛下から贈られた。

はばかりながら、「祖母」が育てた蚕が紡ぎだした糸を使って孫の産着が出来上がったのである。

たいそう贅沢なことだが、こういう贅沢をこそ皇室の方々にはなさっていただきたいのだ。
海外ブランドの洋服など、数年後には流行遅れでもう着られない。
しかし、和服は美術品なので保てば永遠に生き、日本の心を伝え続ける。

着物は末代まで。
いよいよ擦り切れればほどいて、おむつに、雑巾に、使い倒して
日本人は生きて来た。

およそ、衣類における色彩センスの頂点は歌舞伎の衣装であると
私には思われる。
近年に至って、ようやくヴェルサーチ辺りがたどり着いた大胆不敵の色使いを
江戸の歌舞伎役者たちはすでにまとっていたのである。

グラデーションの美学も日本のものであろう。

皇室の方々には、神域のお守りを至高の御役目として、次に守って頂きたいのが日本の文化であり、美意識である。それは言葉も、衣装も、そして何より日本の心ばえを、心意気を。



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       衣香(きぬか)糸賀文音
by kimonokinuka | 2014-06-23 07:11 | 井沢満先生の作品

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